コラム

外貨で運用したいなら○○!手段別のコスト比較

外貨

それなりに社会人を続けていると、まとまったお金があったりします。金利は0に近いけど、かといって株は怖い・・老後に2000万必要とか言われるけど。。悩んだ時に「外貨」を思い浮かべませんか?
外貨といっても、いろんな方法があります。そこで、この記事では外貨(米ドル)投資の手段別コストと利回りを整理します。ぜひ参考にしてください。

外貨運用のコストと利回り一覧

運用で大事なのは「コスト」。お金を増やすために、お金を払うのはバカらしいですから。そして利回り。日本円より高い金利を求めて投資をするわけですから、利回りを確認しましょう。

1.外貨預金

預金は身近な金融商品です。真っ先に外貨預金を連想するのは自然なことです。ただし、円の預金と違う注意点があります。

  • 為替手数料がかかる(預金に限らず全てかかります)
  • 為替の変動リスクがある(これも預金に限らず)
  • 金融機関破綻時に資産は保護されない(預金保険対象外)
  • 利回りは円預金より高いが、他の外貨運用よりは低い

預金という言葉の分かりやすさはメリットです。主なネット銀行のコストと利回りを比較します。

<米ドル 普通預金>※2019年7月20日現在
  利回り コスト(購入時/売却時)
住信SBIネット銀行 0.7% 0.04円/0.04円
イオン銀行 0.7% 0円/0.5円
楽天銀行 0.01% 0.25円/0.25円
ソニー銀行 0.7% 0.15円/0.15円
<米ドル1年定期 1万通貨未満>※2019年7月20日現在
  利回り コスト(購入時/売却時)
住信SBIネット銀行 2.2% 0.04円/0.04円
イオン銀行 2.0% 0円/0.5円
楽天銀行 0.8% 0.25円/0.25円
ソニー銀行 1.8% 0.15円/0.15円

住信SBIネット銀行がコストも利回りも一番という結果になりました。

2.外貨MMF

次に外貨MMFです。こちらは主に証券会社で取り扱っている商品です。為替の変動リスクは外貨預金と同じですが、外貨預金との違いは以下の通りです。

  • 外貨ベースでも元本保証ではない
  • 利回りは外貨普通預金より高い事が多い
  • 確定利回りではない
  • 為替差益の税金が違う
  • 金融機関破綻時に資産は保護される
  • 運用にコストがかかる

外貨MMFは投資信託です。公社債という手堅いものに投資していますが、元本保証ではありません。元本保証ではないものの、分別保管という制度で金融機関破綻時に資産が保護されるというメリットがあります。
なお、信託報酬というコストがかかりますが、信託報酬を引いた後の利回りが表示されるので気にする必要はありません。税金は分配金(利息)も為替差益も分離課税で分かりやすいです(ちなみに外貨預金の為替差益は雑所得)。

それでは、外貨MMFを比較します。

<外貨MMF>※2019年7月20日現在
証券会社 商品名  利回り コスト(購入時/売却時)
SBI証券 ブラックロック 1.89% 0.25円/0.25円
楽天証券 ゴールドマンサックス 1.89% 0.25円/0.25円
マネックス証券 ニッコウMMF 1.71% 0.25円/0.25円
カブドットコム証券 1.71% 0.2円/0.2円

外貨MMFは証券会社が違っても同じ投資信託なら同じ利回りです。

外貨定期預金と違い外貨MMFはいつでも解約できるメリットはありますが、利回りでは住信SBIの外貨1年定期の方が高くなっています。さらに為替手数料は0.25円と住信SBIの0.04円よりコスト高です。

住信SBIネット銀行からSBI証券に外貨で入金できるので、そうすれば、為替手数料は0.04円に抑えられます。外貨MMF、外貨預金ともに住信SBIネット銀行を活用するのがよさそうです。ちなみに筆者はドル円が80円台の時に、資産の一部を円からドルにして外貨MMFで保有しています(ドルで米国株を買うつもりがタイミングを逃して外貨MMFに・・)。

3.FXのコストと利率比較

FXというと、ハイリスクハイリターンのイメージですが、外貨預金のようにも使えます。業者間の競争が激しく、低コストで利用できます。FXが他の手段と違うのは、

  • 利率ではなくスワップポイント
  • スワップポイントは日々変わる
  • レバレッジをきかすことができる

FXではスワップポイントという円とドルの金利差を日割りでもらえます。レバレッジというのは、お金を借りて取引きする事です。ただし、損をすると借金になるので、ハイリスクのイメージがFXにはあります。
レバレッジをきかせずに取引すれば、外貨預金や外貨MMFと同じです。それでは、コストと利回りをみてみます。

<FX>※2019年5月31日現在、スワップポイントは推定
  スワップポイント コスト(購入時/売却時)
DMM FX 年2.6円ほど 0.003円/0.003円
SBI FXトレード 年3.0円ほど 0.0027円/0.0027円
GMOクリック証券 年2.6円ほど 0.003円/0.003円

特筆すべきはコストの低さです。SBIFXトレードでは1ドルあたり年間約3円のスワップポイントがもらえますので、1ドル110円として、利回り2.7%です。コストと利回りを考えればFXは優秀です。ただ、外貨運用という観点では、裏技に近い方法です。

4.米国債のコストと利率比較

米国債を買うという方法もあります。外貨MMFの中身にも含まれますが、米国債なら信用力の高い米国の債券にだけ投資できるわけです。アメリカにお金を貸すわけですね。
2022年2月15日満期の米国債をみてみましょう。

<米国債>※2019年7月20日現在
  利率 利回り
米国債(残り期間2年7か月) 2% 1.65%

額面1ドルであれば、1.0087ドルで購入します(2019年7月20日)。満期に返ってくるのは1ドルなので、利息は2%ですが、利回りは1.65%になります。

日本と比べれば利回りは高いですが、アメリカの金利も歴史的に低い状態です。基本的に満期まで保有する商品なので、2年以上資金を固定させるのはどうかと思います。(途中売却できますが値下がりリスクがあります。)

とはいえ、アメリカが発行するわけですから信用力はピカイチ。手堅いものがお好みならアリかもしれません。

5.それ以外の運用手段

リスクが取れるなら、米国株で運用する投資信託という方法もあります。その際は、販売手数料と信託報酬(運用中に取られる手数料)が低いものを選んでください。
とはいえ、アメリカの株式は割高で、高値つかみになる可能性があります(2019年7月現在)。タイミングをはかるか、積立にするなど考えた方がいいでしょう。

また生命保険で外貨運用するものがありますが、高コストなので合理的に考えると入るべきではありません。

そもそも外貨は買いなのか?

通貨それ自体は価値を生みません。金利が高くても理論上は為替で吸収されるので、長期的にはドルだから得ということはありません。とはいえ、日本より高い金利を得られるというのは魅力です。

短期的には為替は様々な要因で動きます。そのため、為替は株よりも難しいと言われます。長期的には少子化で国力(?)が落ちて円安に向かうという人もいますが、少子化で通貨の価値が下がるという理屈もよく分かりません。

確かに日本の国債が暴落して、日本の金利が上昇すれば、通貨の価値は下がるかもしれません。しかし、逆に円高になるという識者もおり、なんとも言えません。

先の事は分からないので、現在の為替水準が円高か円安か把握するのが第一歩と思います。最後に実質実効為替レートというものを紹介します。

実質実効為替レートをみると円安

ニューヨークのラーメンは2000円するそうです。ラーメンに限らずアメリカに行くと物価の高さに驚きます。これは物価以前に円が安すぎるのです。逆に外国人観光客が多いのは円が安いからです。外国人にとって日本の物価はかなり低いのです。
実質実効為替レートをグラフにしてみました。

実効実質為替レートグラフ

これは物価の変化を考慮した為替レートです。これをみると、オレンジの線が2005~2009年ごろから上に動いています。これは円安になっている事を表します。実際の為替レート(青い線)はあまり変わっていないように思いますが、日本の物価が上がらないので、相対的に円安になっているのです。

実は円が得?今じゃないかも

実態よりも円が安くなっているので、この先円高になる可能性があるということです。金利に気を取られていると円高になって、こんなはずじゃなかった、となるかもしれません。

それでも、外貨にしてみたいという方は、本記事を参考にしていただければ幸いです。