始め方

いまさら聞けない株価の高い安い

基本的なことは、わざわざ教えてくれません。

例えば「株価」

一株あたりの価格のこと、欲しい人が増えれば上がる、というのは分かります。でも、株価の高い安いとは何でしょう。「うちは競合より株価が高い」なんて表現されますが・・果たして意味のあるコメントなのでしょうか。

株価は株数によって変わる

「ドコモ」と「KDDI」の株価を例にします。

<11月24日終値>

  • ドコモ 2,858円
  • KDDI 3,088円

終値というのは、その日の最後に取引された株価。見た人はドコモの方が200円くらい安いと思うでしょう。では、次に下の数字を見てください。

<11月24日時価総額>

  • ドコモ 11兆1469億円
  • KDDI 7兆9893億円

突然「時価総額」なんて言われても困りますが、「時価総額」とは「株価と株数をかけたもの」です。株価が1万円で株数が10(枚)なら時価総額10万円という単純な関係です。これは同じ日の時価総額ですがドコモの方が大きいです。

※ヤフーファイナンスでドコモと検索すると株価を見られますが、時価総額は少し下の方に書いてあります。

株価と時価総額が逆なのは、株数がドコモとKDDIでは違うからです。

<ドコモ>

<KDDI>

株数(発行済み株式数)

  • ドコモ 3,899,563,000株(約39億株)
  • KDDI 2,587,213,525株(約26億株)

ドコモの株数が約1.5倍。時価総額が大きくても株数が多いので、1株あたりの価格である株価は低くなるという訳です。

例えるなら、ドコモケーキとKDDIケーキ、ホール(時価総額)で買うとドコモケーキが高い。でも1個あたり(株価)はドコモケーキが安い。なぜなら1個あたりが小さいから(株数が多いから1株が小さい)。つまり、会社によって株数が違うので、株価を比較しても意味がないのです。

「KDDIの方が株価が高い」というのは意味がなく、どうせ言うなら「ドコモの方が時価総額が大きい」です。全く逆の印象になるから不思議です。

時価総額を比べてもしょうがない

じゃあ時価総額で比べよう。となりますが、残念ながら微妙です。

株式会社は「株を発行して得た資金」を元手に商売します。元手から「どれだけ稼げるか」を競争するわけです(実際は「株で得た資金」と「借金」が元手)。

株を買う人は、家賃収入から投資用マンションの買値を決めるイメージで、会社が「どれだけ稼げるか」から「会社の価格」を考えます。その「会社の価格」が時価総額です(実際は「会社の価格」から「借金」を引いたもの)。

金額をあてはめてみます。A社とB社は毎年1億円稼いでいるとして、時価総額はA社が20億円、B社が10億円とします。

  • A社 毎年1億円の稼ぎで時価総額20億円
  • B社 毎年1億円の稼ぎで時価総額10億円

どちらの会社がお買い得か?同じ稼ぎなら安く買えるB社となります。同じ家賃収入なら安く買えるマンションが良いのと同じです。

では、A社が毎年4億円稼ぐ会社だったら?

  • A社 毎年4億円の稼ぎで時価総額20億円
  • B社 毎年1億円の稼ぎで時価総額10億円

A社の時価総額は稼ぎの5倍(5年分)、B社の時価総額は稼ぎの10倍(10年分)。この場合はA社の方がお買い得です。マンションで例えるなら、マンション価格は2倍でも家賃収入は4倍。お金があればB社よりA社を買いたいはずです。

ということは時価総額を比較してもダメで、高い安いは稼ぎ(利益)と時価総額を比較して決まるわけです。言われてみれば当たり前、ハーゲンダッツが100円で売られていれば「安っ!」となるけど、ガリガリ君が100円で売られていれば「え、高くないか・・」となります。どんなものでも価格と得られるもの(アイスなら味、株なら会社の稼ぎ)の関係で高い安いが決まります。

まとめ

  • 株数が違うので異なる会社の株価を比べても意味がない
  • 会社の価格は株価ではなく時価総額
  • 時価総額と稼ぎ(利益)を比較して株価の高い安いが分かる