十人の話を一度に理解したのは、聖徳太子。たくさんのモニターをみて瞬時に理解するのは株のトレーダー。株の取引きは超プロフェッショナルがやるイメージです。でも実際は、たくさんの情報は必要ありません。安い株を見つけるための指標は2つだけ。まずは1つ目を紹介します。
PER(ピーイーアール)
株価の高い安いは「会社の価格」と「稼ぎ」を比較する事で分かります。それは「投資用マンションの販売価格」と「家賃収入」の関係と同じ(詳しくは「いまさら聞けない株価の高い安い」)。これを見る指標はPER(ピーイーアール)と呼ばれます。
PERとは元を取るまでの期間
例えばマンションの販売価格が1500万円で家賃収入が年100万円なら15年で元が取れるわけです。これと同じことを株の世界では「PERが15倍」と表現します。つまりPERとは元が取れる期間。元が取れる期間なので、短い方が良く15倍より14倍、数字が小さいほど株価が安い事を表します。
式にすると、こうです。
会社の価格 ÷ 稼ぎ = PER
会社の価格(時価総額)を株数で割ると株価なので、利益も株数で割って、下のように表現されるのが一般的ですが同じ意味です。
株価 ÷ 一株利益 = PER
PERの平均
PERは15倍が平均と言われます。元が取るのに15年かかるというわけです。
- PERが15倍以上だったら高い
- PERが15倍以下だったら安い
ヤフーファイナンスでPERがどこに書いてあるか見てみましょう。

見づらいですが、下の「参考指標」というところに「PER(会社予想)」とあります。会社予想とは、その会社が予想している「今期の稼ぎ」と「会社の価格」を比べたPERという意味です。予想なので注意は必要ですが、目安になります。
ドコモのPERは15.56倍、安くも高くもない水準です。これは果たして買いでしょうか?
PERの高い・安いには理由がある
スーパーマーケットにも魅力的だけど価格の高いものが売られています。同じようにPERの高い会社は魅力があるから株価が高いわけです。会社の魅力とは何か?それは成長性です。成長すれば毎年利益が増えるから値段が高くて当然、今年はPERが30倍でも、利益が倍になればPER15倍と考えるわけです。例えばアパレル通販サイトZOZOTOWNを運営しているスタートトゥデイのPERを見てみましょう。

下はスタートトゥデイの売上と利益のグラフです(ヤフーファイナンス)。安定して伸びており、投資家は今後も期待できると考えているわけです。

ではドコモはどうか?携帯電話は普及した、スマホの切り替えも一巡、格安スマホとの競争もある、周辺事業に力を入れているようだけど・・うーん、そんなに成長が期待できないわけです。ちなみに当サイトは企業の成長性を分析していますが、ドコモは5段階評価で2.65です(スタートトゥデイは4.44)。
下のグラフを見てもわかりますが、ここ10年横ばいです(悪くはない)。この先も大きな成長が望めないと考える人は多いと思います。その結果、PERは15倍程度の高くも安くもない水準になっています。

ただ、携帯やスマホはなくならないし、売上も利益も当面は横ばいだろうと考えて、配当狙いで持つという考え方もあります。
PERがおかしかったり、出せない会社がある
最後に、PERがすごく高い会社があります。ヤフーファイナンスのPERランキング上位の会社は株価が高いというより稼ぎ(利益)が小さい事がPERの高い理由です。ギリギリ黒字の会社は利益が小さいのでPERが異常に高くなります。
また、利益が急に半分になるなんてザラで、PERは変動しやすいのがネックです。10倍で安いと思ったら業績悪化で急に20倍、なんてことが起こります。
さらに赤字の会社は利益がないのでPERが出せません(マイナスはない)。こういったケースではPERが使えないため、もう一つPBR(ピービーアール)という指標を見ることになります。PBRの話は「安い株をみつける その2」でしたいと思います。
まとめ
- PERは株価の高い・安いを見分ける指標
- 15倍を下回る会社は株価が安いが、安いなりの理由がある。
- PERはブレやすく、赤字だと出せない。PBRという別の指標がある。