始め方

安い株の見つけ方 その2

計画通りいかないのはダイエットだけではありません。会社も一緒です。計画通り利益を出せればいいですが、増えたり減ったりします。今年は良くても来年は分からない。

株価が割安か判定するPERという指標(詳しくは「安い株の見つけ方 その1」)は利益を使って計算します。でも来年も利益が同じように出るとは限らないし、そもそも会社自身が出している予想の利益で計算していたりします。それに、赤字の企業や予想を出していない会社はPERが出せません。PERが出ていなかったり、あてにならなかったりするので、別の指標があります。

PBR(ピービーアール)

PERは「稼ぎ(利益)」が「会社の価格(時価総額)」の何年分かを表すのに対し、PBRは「会社の資産」と「会社の価格(時価総額)」を比べます。赤字の会社でも資産はあるので算出することができます。また、資産は利益ほど増減がないので堅実な指標と言えます。

 

会社の価格(時価総額) ÷ 会社の資産(純資産)

 

株数で割って、下記のように表現されるのが一般的ですが同じ意味です。

 

株価 ÷ 一株あたりの純資産

 

「純資産」というのは、資産のうち「借金」は除くことを意味します。

PBRは低いほど株価が安いことを表す

マンション経営をしている架空の会社を例に解説します。

A社は3000万円のマンションと現金1000万円を持っています。一方で2000万円の借金があります。この会社の純資産は、

 

3000万円(マンション)+1000万円(現金)-2000万円(借金)

=2000万円 ←純資産

 

となります。A社のマンションは家賃の値上げができそうなので、投資家はA社の価格は3000万円と考えたとします。そうするとPBRは下のようになります。

 

3000万円(会社の価格)÷2000万円(純資産)

=1.5 ←PBR

 

逆にA社のマンションは家賃収入が途絶える可能性があり、マンション自体の価値も下がっていると考えた投資家はA社の価格を2000万円と考えたとします(株価が下落)。そうするとPBRは下がります。

 

2000万円(会社の価格)÷2000万円(純資産)

=1.0 ←PBR

 

PBRもPERと同じで低いほど、会社の価格が安い(株価が安い)ことを意味します。目安は1.5といわれ、1倍を下回ると解散価値を下回るほど安いと言われます。

  • PBRが1.5倍以上だったら高い
  • PBRが1.5倍以下だったら安い
  • PBRが1.0倍以下は解散価値を下回るほど安い

解散価値を下回るPBR1倍割れとは

もし会社を解散する!となった場合、会社は資産を全て現金化して借金を返し、残った現金を株主に還元して終了となります。この「仮に解散したら株主に還元されるであろう現金」より、株を買うのに必要な資金が下回っている状態を「解散価値を下回るほど株価が安い状態」と言います。

先ほどのA社を例にします。

 

BさんはA社の株を1,500万円で全て買ったとします。

 

1500万円(会社の価格)÷2000万円(純資産)

=0.75←PBR

 

BさんはPBR0.75という格安で株を買っています。そして会社は解散することになりました。2000万円の借金を返す必要がありますが、1000万円の現金では足りないため、マンションを売って返済します。

 

1000万円(現金)+3000万円(マンション売却)-2000万円(借金)

=2000万円←株主のBさんに戻ってくる額

 

残った2000万円がBさんに返されるお金です。Bさんは1500万円でA社を買いましたが、解散して2000万円手元に残ったので、差し引き500万円得します。解散価値を下回るPBR0.75で株を買ったのでこういうことが起こるのです。

PBRが低いのも理由がある

ただし、万能な指標はないもので、PBRが低いのも理由があります。

 

先ほどの例で、不確実な事が一つあります。それはマンションを3000万円で売却という部分です。もし1500万円でしか売れなければ、Bさんに戻ってくるお金も1500万円少なくなり、500万円得するはずが1000万円損します。帳簿に書いてある価格で現金化できる保証なんてないのです。PBRが低い会社は資産の価値を疑われている可能性があります。

 

また、会社は稼ぎ続けることで資産を増やしていくわけですが、稼ぎが少ない(赤字だったり利益率が低い)と、資産がどんどん減っていくと投資家は考えます。そのため会社の価格が低く(株価が下がる)なり、PBRも低くなります。PBRが低い会社は利益率が低いことが多いので、利益率とのバランスでPBRが低めの企業を探すといった事が大事です。

まとめ

  • PBRは会社の純資産と時価総額を比べて株価の高い・安いを見分ける
  • 1.5倍を下回る会社の株価は安いが、安いなりの理由がある。
  • PBRが低い会社は利益率も低い会社があるので注意。